2024/01/29 14:26



石川県は日本屈指の霊峰・白山の上質な伏流水や、酒造りに適した「酒造好適米」を代表する品種のひとつ「五百万石」など、環境と素材に恵まれた日本酒の名産地です。


また、石川県は室町時代から受け継がれてきた歴史を持つ伝統工芸品「輪島塗」が世界的にも有名です。


今回の記事では、石川県の日本酒と輪島塗について紹介したいと思います。
日本酒の項目では近年高い評価を得ている能登ワインについても触れていますので、ぜひご覧ください!



<日本酒・ワイン>


石川県では昔から日本酒の製造が盛んであり、人気の銘柄が多く製造されています。


また、最近では能登半島の恵まれた土壌と気候を生かして作られた国産ワインも注目されつつあります。


・天狗舞


天狗舞は石川県白山市にある1823年創業の酒造メーカー「車多酒造」が醸造している、国内でも有数の人気を誇る日本酒の銘柄です。


「天狗舞」の名前はその昔、蔵が深い森に囲まれ、木々の葉のすれあう音が「天狗が打ち鳴らす太鼓の音」に聞こえたという伝説に由来しています。


「山廃仕込の代名詞」とも呼ばれ、吟醸酒ブームの先駆け的存在です。


「能登杜氏四天王」の1人と称される中三郎(なか・さぶろう)氏が在籍しており、霊峰白山の伏流水と加賀平野で造られた良質なお米の可能性を最大限に引き出しています。


山廃仕込特有の濃厚な香味と酸味の調和がとれた、個性豊かな純米酒です。


・能登ワイン


奥能登の玄関口・穴水で製造されている能登ワインは2006年、能登空港の開港を機に新たな能登特産品を生み出すため、小さなワイナリーからスタートしました。


日本海のミネラルを存分に含む能登の土壌に牡蠣の殻を加えるなど、試行錯誤を重ねた土壌改良の努力が実を結び、わずか数年後に国産ワインコンクール入賞を飾ります。


加熱処理しない「生詰め製法」で造られ、能登ならではのテロワール(風土特性)と能登産ぶどうの個性を感じることのできる優秀な国産ワインです。


山梨大学が欧州ワインの代表的品種である「カベルネ・ソーヴィニヨン種」と国内に自生している山ぶどうを交配して改良した「ヤマソーヴィニヨン種」をはじめ、能登の気候風土に適したぶどうが野性味のある素朴な香りと軽やかながら骨格のしっかりした味わいを生み出しています。



<輪島塗>


輪島塗(わじまぬり)は、石川県輪島市を中心に作られている漆器です。


日本を代表する伝統工芸品として、昭和52年に全国で初となる国の重要無形文化財に指定されました。


お椀・湯呑み・重箱・お盆・茶道具・手鏡など食器から日用品・生活用品まで様々な種類の商品が製造されているほか、漆器職人の八井汎親(やついひろちか)氏が輪島塗のヴァイオリン「天の川」を製作するなど、幅広く輪島塗の技術が用いられています。


また、石川県では祭礼の日に親戚や友人、お世話になっている人を自宅に招き、輪島塗の器を揃えご馳走をふるまう「ヨバレ」という風習が受け継がれてきました。


夏祭りの時期でも各家庭がヨバレごっつぉ(ヨバレの際にふるまうご馳走)を用意できるように、冬に獲れた魚を発酵させ保存しておくという生活リズムが確立されています。


輪島塗はいわゆる「ハレ」の日における祝いに欠かせない工芸品です。


このたびの令和6年能登半島地震により、いまだ全容は把握できないものの輪島塗の工房や店舗が焼失・倒壊するといった甚大な被害が発生し、製造再開の目途が立っていない状況ではありますが、一日も早い復興を願っております。


以上、石川県の日本酒・ワインおよび輪島塗について紹介いたしました。


新鮮な海の幸が豊富に獲れる土地柄ということもあり、食材や料理の魅力を一段と引き立てる酒と器が発展してきたのも必然といえるでしょう。


石川県の旅をゆっくりと楽しめる時期が訪れた際には、食だけでなくその周辺を取り巻く文化にもぜひ目を向けてみてください!